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Cataclysm

Cataclysm カタクリスム(大災厄)

 第二次世界大戦を、ヨーロッパ、太平洋の両方で描いた政略・戦略級ボードウォーゲームです。
このゲームの世界観はかなり強烈ですが、かなりの示唆に富んでいるようにみえます。私は、パソコンゲームも含めて、この世界観はあまり見たことがなく、かなりの衝撃を受けました。
 そこで、今回はボードウォーゲームファンのみならず、ゲーム好きな方、できうるならば、ゲームの枠越えて第二次世界大戦に興味を持たれる方への紹介記事を目指します。

 なお、私のプレイ回数は3回ですし、ルールが少々とっつきにくいので、理解不足の点もあるかと思いますのでご了承ください。また、そのうえでの推論を多く含みますので、実際のところ全く見当違いの話をしている恐れもあります。

<1 本作の特徴 強烈です>
(1) 概観

 強烈な世界観です。第二次世界大戦というものを、冷徹なパワーゲームとして描いています。そこに道徳というものは存在せず、また、一切の甘やかしも幻想もありません。つまり、イデオロギーそのもの自体は幻想ととらえ、しかし、第二次世界大戦の本質はイデオロギー陣営ごとの覇権争いである、と設定しています。

 具体的には、民主主義陣営(米英仏)は、現状が好ましい世界環境で、この世界環境を維持することによりどんどん富を得ようと考えている(金持ちけんかせず、です。)、と。これに対し、全体主義陣営(日独伊)と共産主義陣営(ソ連)は現状の世界環境は望ましくないので、どうにかして世界環境を変えたいと考えている、そのために闘争が発生する、という論理です。

 覇権争いの原資は生産力です。そして生産力というものは、数字となって表れるので、無情です。
 「第二次世界大戦とは、イデオロギー陣営同士の覇権争いと、その原資たる生産力、これが本質である。」これが本作の主題ではないかと思います。
 そして、そのなかで冷徹に各イデオロギー陣営が覇権確立を目指したらいったいどうなっていたのか?ということを世に問いています。

(2) 具体的な話
 具体的に私が感じた世界観ですが

日本に限った話ですと、
・太平洋の島々には覇権争い的にも経済的にも価値がない。
・中国国共内戦への介入は泥沼につながり、その割に実入りは少ない。
・満洲は経済的に極めて重要であるが、対ソ連で考えると最悪の位置にある。
・満洲はすでに中国から切り離されている。
・日本の政治体制はそれほど強固ではない。

一方世界の話となりますと
・アメリカの生産力はすさまじい。具体的には、日独伊をあわせたよりも大きい。
・アメリカは議会のために当初は身動きがとれない。
・ソ連の本質は硬直した官僚主義であり、粛清はそれが表出したにすぎず、本質ではない。
・アメリカ・イギリスの政治体制は、彼らが本気になると極めて強固である。
・ドイツの政治体制は強固であるが、極限に近くなると限界を露呈する。
・フランス・イタリアの政治体制は極めて脆弱である。
・イタリアはムッソリーニのカリスマが国家を支えている。(このゲームで特定のキャラはムッソリーニのみです。ヒトラーもチャーチルもルーズベルトもいません。)
・日独同盟はソ連から見ると極めて脅威である。
・ルーマニアは、ソ連がとりやすい
・攻撃側が強い。さらに言えば機動防御(大まかにはいったん敵に攻めさせて、その後良いタイミングで反撃すること)がより強い。
・全体主義陣営は、長期戦に分がなく、戦争を始めたら早期に終結、言いかえれば「勝ち逃げ」を狙わなくてはならない。


<2 どんなゲーム?ゲームの基本情報>
(1) 概要

 ボードウォーゲーム界では最大手のアメリカGMT社から出版された、ボードウォーゲームです。和訳は、手前味噌になりますが、私がボードゲームギークというゲーム情報サイトに投稿しました。

https://boardgamegeek.com/boardgame/125977/cataclysm-second-world-war
和訳 https://boardgamegeek.com/filepage/174505/cataclysm(GMT社から許可を得ています。)  翻訳の精度は、何とも言えませんが、現状ゲームプレイには、ある程度(高校レベル?)英語が読めることが前提となっています。(校正1回)

 本作は興味のある方であれば、しっかりルールを読んで何回かプレイすれば、難易度という点では、中高生でも遊べると思います。(向き不向きの個人差がありますので、保証するものではありませんし、逆に大人でもプレイできない方はいるでしょう。)ルールは少々整理されていない印象を受けます。
 プレイ時間は、私たちがプレイしている場合、だいたい8時間程度で終わります。

(2) マップやユニット
 ヨーロッパマップと太平洋マップからなります。マップはエリアに分かれていて、例えばフランス本国は4エリアからなります。
 ユニットは、規模がとても大きく、陸・空・海軍ともそれぞれ最大で1エリアに2コマしか置けません。
 ユニットの種類も全種類、陸軍は歩兵軍、戦車軍、要塞、兵站ユニット。海軍は水上艦隊、空母艦隊、潜水艦隊。空軍は戦術空軍、戦略空軍。合計で9種類しかありません。勢力(本作では国のことを勢力と言います)ごとのユニット能力の差はありません。

(3) 対応する時代
 1933年スタートです。ヒトラー政権樹立、米ソ国交樹立などがあった年です。満洲国成立が1932年ですから、一つの節目の時期と言えるかもしれません。
 1ターンは2年です。基本的には1945-46年ターンにゲームは終了します。(場合によっては前後します)

(4) 勢力
 本作では国のことを勢力と言いますが、勢力は3つの陣営に分かれています。この枠組みは、ゲームを通して変わりません。
全体主義陣営:ドイツ・日本・イタリア
民主主義陣営:アメリカ・イギリス・フランス
共産主義陣営:ソ連

(5) 勝利条件
 もともとの自国エリア(本国と植民地)の数から、どれだけ多くエリア数を増やしたか?により勝利を争います。どのエリアも一律1VPです。(首都のみ2VP)

 基本的は一定時間(通常は1945-46年)が経つとゲームは終了します。一方、自動終了条件もあり、1陣営が2勢力を降伏させたり、1陣営を完全に降伏させた場合(つまりソ連が降伏した場合)即座に勝利得点計算を行います。

<3 具体的な話>
 本作において最重要と思われる、生産力まわりについて、簡単に具体的な話をします。

(1) マップ上の資源
 本作での原資は資源です。資源を原資にしてユニットを作ったり、部隊を動かしたりします。資源がなくては何もできません。

アメリカ 初期6 戦時11
イギリス 初期2 戦時5
フランス 初期2 戦時3
米英合計 初期8 戦時16(フランスの降伏前提)

ドイツ     初期1 戦時7(フランス占領を前提)
日本        初期3 戦時4(ジャワ占領を前提)
イタリア 初期1 戦時2
合計           初期5 戦時13

ソ連         初期2 戦時8(ルーマニア占領を前提)

 生産力だけを見ると、一見すると民主主義陣営に対して全体主義陣営は拮抗しているように見えます。しかし、米英は間に敵がいない大西洋でつながっていることから連携しやすいのに対し、独伊と日本は、連係が取りにくいため、不利です。さらに共産主義陣営の存在があります。史実では全体主義陣営は共産主義陣営も敵に回したわけですが、それでは短期決戦しかなく、長期戦(3ターン6年とか)での勝ちはない、と本作は主張しているように思えます。

(2) 勢力の生産力
 このゲームの生産力は、マップ上の資源により全てが決まるのではありません。ユニットを作るには、資源を生産力に転換する必要があります。この転換はほぼ自動的に行われますが、生産段階に応じて転換レートがあります。この転換レートは、戦争段階が上昇するとどんどんよくなります。

転換レート
平時 50% 再軍備期 100% 動員期 200%(実質は約300%) 総力戦期 300%(実質は約450%)
実質、と書いたのは、戦争がはじまると、さらに資源の種類によっては生産力がブーストされるからです。(自然資源はそのままですが、工場資源、つまり工場は事実上2倍の資源を生み出します。)

 戦争段階が上がると、生産力は激増するのですが、内部統制、政権の安定性はどんどん低下します。戦争段階の上昇は国家リソースを軍需に振り向け、民生への比率を下げているということを表しているわけですから当然と言えるでしょう。
 で、その際に重要になってくるのが勢力の政治効率性(エフェクティブネス値)なのですが、ざっくり、
アメリカ・イギリス:平時・再軍備2、動員・総力戦3
ドイツ:平時・再軍備・動員3、総力戦2
日ソ:常に2
仏伊:常に1
となっています。政治面においては、戦時では政権の維持が最重要課題で、戦時において政権が崩壊すると大変な悪影響を被り、場合によっては降伏(=滅亡)してしまいます。この政権の維持の際の能力が政治効率性で、つまりざっくり、戦時において、米英は日独ソより1.5倍政権維持が容易である、ということになります。(ドイツとソ連には関連して有利な特別ルールがありますので、実際はもう少し政権維持が容易です。)


<4 注意点:本作がゲームであること>
 本作の世界観はとても冷徹で、示唆に富んでいますが、やはり主軸は歴史探求ではなく、ゲームであり、ゲーム性を第一に考えていると思われます。次にその特徴(現実と異なる点)をあげていきます。

・覇権争いを主眼とした設定方法:私は、そもそも生産力がすべてで、覇権争い(=VP)が第二次世界大戦後の新世界秩序を形成するとは思えません。
・どのエリアも一律1VP:フランスプロヴァンスも、ソ連沿海州も同じく1VPです。(太平洋の島々はゼロです)
・石油の概念がない:日米戦争の開戦から戦争中にいたるまで、重要なカギは石油だと思うのですが、本作ではそれを考慮していません。ただ、そういった作品は結構あります。デザイナーのとらえかたもあるでしょう。
・国家指導者は国家方針を全て決定できる絶対的権力を持っており、かつ、ほぼ全ての情報を見通し、それをもとに合理的に判断できる。
・さらにイデオロギー陣営の戦略そのものが1人で決定できる。:史実において、イデオロギー陣営、特に全体主義陣営は同床異夢でした。
・そもそも本作のイデオロギー陣営というフレームは適切なのか?:例えば日英・日米・英独などが接近する可能性はなかったのか、など。ただしゲーム開始時が1933年だと、たしかに本作の枠組みでも支障はない気もします。

 結局のところ、これはゲームです。ゲームも小説も、さらに言えば歴史の概説書も、複雑な現実の事象を単純化することにより、物事の本質を追求しようとするものです。逆に言うとそれくらいしないと一般人(場合によっては人類)の頭で物事は理解できないのですが、事象を枝刈りすることにより、本質そのものを損なっている可能性は常にありますし、バイアスがかかる可能性もあるでしょう。つまり、提示された世界観を鵜呑みにすることなく、「話半分」、「ああ、こういう考え方もあるよね」程度に留めておく必要があると思います。(これは本作に限りませんが)

 とはいえ本作はゲームとしてもかなり面白いんじゃないかなあ、と思っております。
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2016/5/17更新

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